(槍盾)
「……あ、ちぃー……」
真上からじりじりと容赦なくオレを焦がそうとする、熱く眩しい太陽。冬であれば誰もがソレを愛おしく思うというのに、今はひたすら憎らしい。
9月に入ったとはいえ、秋の到来はまだまだ遠く感じられる程に暑い。何もせず、ただ歩いているだけでも汗が流れ落ちる額、首、背中。
オレ、運動部にも入った事ないのに。こんなに代謝良かったっけ。
(……あ、コンビニ)
ふと顔を上げると、大きく『7』と書かれた看板が目に飛び込んできた。最近この近辺では、このコンビニが店舗の数をどんどん増やしている。昔は他県にしかなかったのに……謎だ。
「入るか」
オレはこのイライラする暑さから逃れるため、迷わず店内へと足を向けた。
* * * * *
「……くあぁーっ、涼しぃ……」
自動ドアが開いた瞬間、しっかりと冷やされたエアコンの風がぶわっと押し寄せた。オレはあまりの気持ち良さに、思わず天井を仰ぐ。すると、一部始終を見ていたらしい店員の女の子に笑われてしまった。慌てて顔を元の位置に戻し、店内へと足を踏み入れた。
火照る頬に手で風を送りながら、棚に並べられた様々な飲み物を眺める。
紅茶にお茶、オレンジジュース。どこだ。お気に入りが、なかなか見つからない。
メロンソーダでも飲んで、すっきりリフレッシュしたいのに。
(あ、あった!……ん?)
目的の緑色に手を伸ばそうとした時、ふいに隣に並んだペットボトルに目が留まった。何で着色しているのだろうか、凄くキレイな青い飲み物。
(コーラ、か?)
思わず手に取り、ラベルを確認する。……最近のコーラは青いのか。時代も変わったもんだ。
……それにしても、この深い青色。誰かを思い出させる……。
「……タテ君?タテ君ではないかっ!!」
「うわっ!?」
背後で突然大きな声がして、ビビったオレは反射的に身体を硬直させた。そのせいで振り向く事が叶わないが、後ろの人物が誰なのかは判る。
オレの事をそんな風に呼ぶのは、あの人くらいしか思いつかない。
「いやぁ、今日は暑いのう……タテ君も飲み物を買いに来たのか?」
「ぐぇ!」
槍崎に無理矢理顎を掴まれ、ぐりっと首を回される。その事で目の前に見えた槍崎の額には、微かに汗が滲んでいた。
「ふぅー暑いなしかし…もう夏もすぐそこじゃな」
「今、秋ですけど!?」
「仕方ない、脱ごうかの」
「ぬ、脱ぐな脱ぐなー!!!」
賢者服に手を掛けた槍崎を、慌てて止める。
公衆の面前で衣服を脱ぎ捨てようとするなんて、やっぱりコイツはイカれてる!
あぁ……いや、まぁソレもあるんだけど……。
「折角、自慢の肉体をタテ君に見てもらおうと思ったのに……」
「シュンとするなよ!」
(ソレが見たくねーんだよオォォ!!!!!)
「……?あ、」
そうだ、槍崎先生だ。
髪の毛、目、そして衣装。
コーラと同じ、すごくキレイな。
海みたいに、澄んだ青─────。
「今日は、メロンソーダではないのか?珍しいのぅ」
「た、たまには……な」
「そうか」
槍崎は当たり前のようにオレの手からペットボトルを取り上げ、レジへと向かった。
いつもの、事。だけど、今日はちょっと違う。
今日飲むのは、コイツの……。
「さて、行こうか?外は暑いがのぅ」
「あぁ……って、ドコに!?」
彼の色を、この身体に浸み渡らせよう。
(青いタテも、結構イカスよな?)
END.
アトガキ:久しぶりの更新^^やっぱり、私はまだまだ勇者学オンリーで生きていけます……!とにかく何か書かなきゃ、と思って書き始めたら……やっぱり槍盾になってしまいました^q^大好きさっ^^最近、青いモノばかり買うようになりました。服とか、ペンとか……賢者色^q^好き過ぎるよ英雄www
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